2012年6月に開催されました日本社会人団体馬術連盟主催 第31回 全日本社会人馬術選手権大会 スプリングの大貫 俊隆審判長より大会の講評をいただきましたので、掲載いたします。
第31回全日本社会人馬術選手権大会 スプリング 審判長講評
1級審判員(東京都馬術連盟所属) 大貫 俊隆
6月9日(土)・10日(日)に、茨城県・馬術苑 中島トニアシュタールにて開催されました標記大会について、僭越ながら、審判長として講評を述べさせて戴きます。
今まで参加されていない選手の方々にも是非お読み戴き、どんどん挑戦して戴きたいと、思っております。
6月9日(土) ドレッサージュ (第3課目2009B)
この課目は日本馬術連盟公認競技会の一歩手前のレベルであり、選手の中には物足りない方もいらっしゃるとは思いますが、複数の乗馬クラブから馬匹を集め行われる貸与馬競技であることから、この予選大会に適していると思われます。またこの課目は、多くの馬術大会では初心者向けの競技として組み込まれることが多く、60%以上の得点を獲得する選手が多くはありません。
しかしながら、この大会では、ある程度以上の経験を積まれた選手が出場することから、多くの馬術大会のこの課目の競技では見られない、ハイレベルな騎乗が見受けられました。貸与馬競技ですので抽選で当たった馬匹によるところもありますが、2鞍ともに57%以上の得点を獲得した選手が、出場22名中6名いらっしゃって、総合順位で6位以内入賞されました。
中には2鞍とも50%台半ばを獲得するのが精一杯の馬匹となったブロックもありましたが、そのブロックトップとなり、ファイナル出場となった選手もいらっしゃるわけです。
上位やブロックトップとなられた選手は、与えられた短い準備運動時間である程度、手の内に入れることが出来た選手と言えましょう。そして、各運動項目においても、「前準備」、「移行」を意識され、馬体を屈曲(ベンド)させるところ、馬体の真直性を大切にしなければいけないところなどをこなしたわけです。
今回、ファイナル出場を逃された選手の皆様は残念ではありましたが、いま一度、課目の各項目、着眼点を読み直され、判らない点は、指導者・審判員・先輩にお聞きになり、来年以降、ファイナル常連選手を逆転しての、ファイナル出場を期待しております。
6月10日(日) ジャンピング (高さ100cmまで)
ドレッサージュ同様、この高さに物足りない選手もいらっしゃるとは思いますが、貸与馬競技であることから、この予選大会に適した高さだと思われます。
短い準備運動時間の中である程度、手の内に入れることはもちろんのこと、基準タイムが設けられていることから、騎乗していながらの時間感覚が重要となる競技と言えましょう。
コース取りを想定しながらの下見も、他の一般競技以上に重要だと思います。
しかし、減点があってはファイナル出場が叶わないことも事実です。結果からも、今回準備された馬匹は全頭、いわゆる「満点馬」であり、時間を気にしながら、無駄のないコース取りをして、無理なく障害物に向けられれば、減点0でゴールすることが出来るとは思いますが、言うが易しで、何鞍目に乗るか、馬匹の疲労度も関係してきますので、本当に見た目以上に、難しい競技であるという印象です。
ドレッサージュより更に「運」も必要なジャンピングですが、その中でファイナル出場となった選手は、「運」をも味方にし、上記内容にも優れていたと思われます。
歩度の伸び縮めも必要であることなどから、馬場馬術運動が基本であることは常日頃から各種競技会で述べさせて戴いていることですが、今回、ファイナル出場が叶わなかった選手は、そのことも是非とも頭によく入れて戴き、練習や各種競技会の出場経験を得て、また来年以降も挑戦して戴きたいと願っております。
(※講評中の写真は日本社会人団体馬術連盟で追加)
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